こんにちはさいたま市のインスペクター建成です。
今回はインスペクヨンについて簡単に解説したいと思います。
インスペクションとは文字通り【調査】・【検査】という意味です。
調査範囲・診断項目は各社様々に規定を設けています。
インスペクション団体に加盟するインスペクター(検査員)の場合は団体が定める基準に沿って診断を行うのが一般的です。
インスペクションの主な診断項目
インスペクションの目的は【建物のコンディションを把握する】事です。
住宅の【健康診断である】と置き換えるとわかりやすいと思います。
その住宅の維持・保全状況を把握することが目的となります。
劣化・施工不良・の性能の程度・構造耐力上主要な隠れた瑕疵の判定のための調査・特定する行為とは違います。
宅建業法が定める建物状況調査のおさらいをしましょう。
重要事項説明で行う建物状況調査では下記の定義があります。
〇媒介契約書に検査事業者をあっせんが可能であると記載した場合において、媒介契約を締結する売主、買主があっせんに基づき検査事業者へ依頼し行う調査。
〇ガイドライン上一次インスペクションに該当。
出典元(社)住宅リフォーム推進協議会【既存住宅流通・リフォームで求められるインスペクションより
〇劣化事象等の有無の確認が目的である。
〇構造耐力上主要な隠れた瑕疵の判定や瑕疵がない事の保証をすることを目的としていない。
〇耐震性は確認済証を受けた交付年月日で判断等、書面にて行う。
特に耐震性については昭和56年6月以降に設計された住宅であればよしとしていることに注意していただきたい。
(※調査時点と書類作成時点での整合性は確認される。)
新耐震基準(昭和56年6月以降)であっても現行耐震(2000年6月以降)までの木造住宅では、耐力壁の最低量は満足していてもバランスが悪いものをはじめ、仕口や継ぎ手の接合不良・構造材の応力不足などが数多く、場合によっては基準法最低基準を満たさない違法物件も多く存在します。
地震や風に抵抗するするためにはそれらに対応する壁の配置がとても重要な要素です。
建築基準法とは必要最低限の事を決めているにすぎません。設計時の書類と現在の間取り等に変更がある場合は要注意です。
インスペクション時に遭遇する代表的なもの
〇外壁であったものが窓になっている。
〇間取りが変わっている。
〇小屋裏収納ができている。
このような場合は、耐震診断を同時に依頼するのがベストです。
しかし、耐震診断を含めたインスペクションでは目視・場合によっては触診による診断が主なため、軸組等の構造材の悲鳴が内外部に事象として現れていない場合は判断が難しいのです。
そのため、住宅の所有者へのヒアリングはとても重要なインスペクションの一部となるため、所有者への最低限のヒアリングは必須です。なるべく売主様の同席をお願いしたほうが良いです。
雨漏り等事象として表れている場合、暴露調査または、リフォーム時にある程度の予算を想定し見積もることは必須です。
(外科手術を前提なため大きく費用を見る必要が出てきます。)
購入検討の場合は、必ずインスペクション後にリフォーム費用の算定を行わないと思わぬ出費があることがあります。
場合によってはそれらの出費が購入の判断材料となるケースになるため注意をしましょう。
インスペクションは売主、買主どちらが行っても良い事になっております。
場合によっては不動産仲介業者が行うこともあります。
※仲介業者が行う場合は、売主買主の同意が必要となります。
当社事例ですが、売主側ですでに状況調査をしていた一例を見てみましょう
2018年夏さいたま市の事例
売主側でインスペクション済物件、診断判定【劣化事象無し】
合わせて耐震性を知りたい買主が耐震診断を当社へ依頼。
結果の一部
雨染み (防火被覆不足等そのた違反もありますがインスペクションガイドライン規定にないためここでは割愛)
トイレの水漏れ
外壁コーキング箇所の破断の一部
その他
設計図指示箇所に筋交いがなく、点検口から目視する際に容易に確認可能箇所であっても指摘が無かった。
柱・壁・床不陸数字が適当。。
このほか色々出てきましたがこの辺で。
気になる耐震診断の結果は
劣化事象も相まって、最低限の必要耐力の半分し満たしていない判定でした。
※耐震診断では構造、耐震性に影響を与える劣化を調査対象としています。耐震調査は2次的なインスペクションに含まれ専門性が高いインスペクションです。上記表参照
やはり【売りたい】側の報告書といわれても仕方のない内容でした。
今回は正直残念な気持ちと憤りを感じたさいたま市での案件でした。
検査には経験や知識が当然必要です。
既に検査済であっても本事例から学ぶように、少し疑って見る事も大事だと私は感じています。
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